2022/01/12 12:05

野鳥の撮影。

それには多大な行動力と忍耐力が必要となる。


険しい道のりを野鳥を探し、痕跡を見つけ、そして野鳥が訪れるまで息をひそめてシャッターチャンスを待ち続けるのだ。

その為、野鳥の撮影には健やかな体と健全な精神が必要だ。


もず吉は考える。

ではこの二つを両立するために何が必要なのか。

それは質の良い睡眠と、何より「食」であると。


これは野鳥撮影に赴く、一人のSONIDORIスタッフの「食」に対する忘備録である。


これはもう100年程前の話。

何故エベレストに登りたいのか?

という記者からの問いかけに山登りの偉人マロリーさんはこう答えた。

「そこに(山が)あるからだ」

何ともシンプルな答え。

それまで誰も登った事のない山に登りたいという彼の気持ち。

分かります。

いや、解りますとも。


とある山道を登りながら、この日のもず吉はその言葉を反芻する。

重い撮影機材を背負って、無人の山林をただひたすら耳を澄ませて登っていく。


もず吉は決してマロリーさんの様に山頂を目指しているわけではない。

しかし理由は同じ。

求めているのは未知という名の頂き。


寒い中、それでも身体は芯から熱い。

そして出会えた。

今年初めての鳥だ!


ところ変わって、場所は海!

もず吉は海辺に佇んでいた。


なんで山から海に?

その目的はカキ!

海のミルク。

栄養の塊。

山登りというのは体力を使う。

いや、山に登りながらの撮影はもっと体力を使う。

つまりどういうことかというと。

大変に腹が減るのだ。。。


気が付けばカキ小屋が立ち並ぶ海辺。

寒空の下、入口のガラス扉から店の中を覗き込む。

活気がある。

入口から覗いてみれば、沢山の客が各々、次から次へと注文を行っている。

そして既に用意しているのだろう、店員のきびきびとした動きで1分も経たないうちに注文が供される。

良い動きだ。

ここは一流店の提供スピードだと分かる。

味も勿論だが、スピードも大切だ。

特に今、腹が減っているもず吉にはドンドンと提供してくれるこの店の速度は魅力的に過ぎる。

良い店だ。

ここに決めよう。

暖簾をくぐり、いざ中へ。


カキ小屋の中はあったかい。

当然と言えば当然だが、この温かさにホッとする。

着席後、早速メニュー表を広げて、カキを注文する。


注文を待っている間に、他のメニューに目を通「お待ちどうさまです!」す暇がなかった。

威勢よくカキが供される。

そうか、この店は食べながらメニューを頼めばいいのか。

無駄に待たせるようなことはしない。

良いじゃないか。

そういうの大好きです!


あ、すみません店員さん。

このフグの干物を1セットお願いします。


それからもず吉は軍手を装着してカキを網の上に並べて焼いていく。

ある程度焼けたらカキをひっくり返す。

じゅぅぅぅぅ。

しゅわー。

溢れたカキのエキスが炭火に触れて、食欲をそそるBGMを奏でる。

勢いよく舞い上がった灰が美しい。

頃合いの焼きあがったカキを一つ、貝柱を切って開けてみる。

ふわん。

と独特の磯の香りが鼻孔をくすぐる。

もう待てません!


いただきます!(合掌)


ぷるっぷるっ!

熱っ熱っ!!

おう My GOD!?

口の中がハフハフなのだ!!

ホフホフなのだ!!!

最高なのだー!!!!

濃厚ジューシー。美味しすぎます。

まだまだお腹はすいている。

カキ以外の注文もしつつ、忙しくカキを焼き続ける。


おっと忘れていたフグさん。

ふんわり焼けた身がまた食欲を刺激する。

ぱくっと一口。

ふわっふわ!


よしよし、追加は何にしようかな。

メニューを見て、ヒオウギ貝さんを発見。

へぇ、あまり食べた記憶がないなぁ。

形はホタテに似ているけれど。

カラフルさが素敵。

興味をそそられて注文して、すぐに焼く。

火が通って、パカリッ!

ヒオウギ貝さん御開帳。

いいねいいね。

素直な反応。

カキは稀に開かない事もあるから、素直な君が大好きです。

そして何より、この濃厚なおいしさ。

味が濃い。

適度な弾力にこの味の濃さ。

カキとは違う、濃厚な海の味。

もむもむもむ。。。

何度も咀嚼して味わう。

ごくりっと嚥下する。

この瞬間が何よりの至福でございます。


お腹も膨れてきて、そろそろ〆を頂きましょうか。

つまみになるイカを頼みます。

そして焼きおにぎりを追加。

残ったカキも一気に焼いていきましょう。

パチパチと、焼きおにぎりの焼ける良い音が耳に心地よいなぁ。


余裕が出来て、ふと周りを見渡す。

周りのお客さんも、夢中で焼けるカキと向き合っている。

楽しそうだ。

野鳥撮影もそうだけど、向き合っている時が何より楽しい。

そうですよね、マロリーさん。


さてさてさて、イカイカイカ焼き、如何でしょう。

ちょっと甘めの醤油に付けてガブリんちょ。

ほらほらほら。

やっぱり間違いない。

肉厚で弾力があり、なのにブチりと容易に噛み切れる。

ここで追い焼きおにぎり。

ばくり。

口の中でイカのうまみと焼きおにぎりの香ばしさが混じる。

即席の焼きイカおにぎりだ。

あぁ、美味い。

次はカキと焼きおにぎりと続けざまに。

焼きカキおにぎり。

はふー、満たされるってこういうことだ。


ごちそうさまでした!合掌

今回も大満足でした!


今年初めてのミヤマホオジロ。

やっぱり可愛いですね!

次回 野鳥とグルメ 『ミサゴと和牛ヒレ肉炭火焼』に続く。