2021/12/21 12:40

野鳥の撮影。

それには多大な行動力と忍耐力が必要となる。


険しい道のりを野鳥を探し、痕跡を見つけ、そして野鳥が訪れるまで息をひそめてシャッターチャンスを待ち続けるのだ。

その為、野鳥の撮影には健やかな体と健全な精神が必要だ。


もず吉は考える。

ではこの二つを両立するために何が必要なのか。

それは質の良い睡眠と、何より「食」であると。


これは野鳥撮影に赴く、一人のSONIDORIスタッフの「食」に対する忘備録である。


12月。

冬の渡り鳥も最盛期を向かえるこの日、今年未だ撮影に成功していないある鳥を、もず吉は息を潜めて待っていた。


カモフラージュ服に身を包み、ただひたすらに朝早くから目星をつけた場所でその鳥を待っていた。


ベニマシコ。


今年はまだその姿、いやその鳴き声さえ聞けていない。

なんてことだ。

鳴き声が聞こえないと探すことも出来ないじゃないか。

例年、目撃する場所で、ただひたすらに耳を澄まして目をつむる。

しかしそれでも意中の相手の鳴き声は聞こえてこない。


6時間、7時間。

時間は無常に過ぎていく。

気が付けば昼を過ぎて、懐に備えておいたカロリーメイトの量も心もとなくなっていた。


聞こえない。

声が聞こえない。

あぁ、そして何より、お腹が減った。。。


中途半端な時間だ。

一度家に帰って、腹に何か入れるか。

それにしても全く鳴き声が聞こえない。

鳴き声が聞こえないというだけでどんよりとしてしまう。

まるで希望が無い、見通しのつかないプロジェクトに手を出したときの感覚。


全く場所の選択を失敗したな、今日は。

はぁ、っと白い溜息を吐きつつここは美味いものでも食べて夕方に備えようと、もず吉は携帯を取り出す。


えぇ、そうです。

宅配を頼むんです。


どんよりとした気持ちは何処かに消えて、ワクワクしながら家に到着して、そしてソワソワしながら宅配を待つ。

と、まもなくもず吉の耳に待ちに待ったチャイムの音。

来た!


そうして受け取りました一人前の寿司桶さん。


量は少なめに設定。

だって中途半端な時間だったから、お腹はすいても腹一杯を食べては夕食に支障が出る。

そう、量とバランスは大事なのだ。

それでは早速頂きましょう!


いただきます!合掌


さてさて、今回のラインナップは


・タマゴ2

・赤貝 1

・コハダ 1

・サーモン 1

・エビマヨ 1

・納豆巻き 2分の1本


寿司で一番好きなものは玉子。

故に2貫。

最初と最後に食す。

これはもず吉なりの楽しみ方。

途中は食べながら組み立てていこうじゃない。


まずは玉子から。

うん、少し瑞々しい感じ。

口の中で玉子と一緒にほろりと崩れるシャリ。

もぐもぐと租借。

おっと暑いお茶を忘れていた。

少し行儀は悪いが、ごくんと玉子を飲み込んで、途中退席して温かいお茶を煎れる。


準備万端、次はサーモン。

油があまり無いタイプ。

どこのサーモンだろう。

そういえばこの前青森産の刺身を食べたけど、あれも油が少なくてスッキリとした味わいだった。

もず吉的にはアトランティックなサーモンはカルパッチョで、赤み(実際白身なんですけど)が強いさっぱりとした味わいのサーモンは寿司や刺身で戴きたい。


うん、寿司って個人個人の好みが色濃く出るなぁ。

いいねいいね、調子が出てきた。


次はコハダだな。

大口開けて頬張ると、次の瞬間には口の中がきゅっとなって、またシャキリとする。

甘めの酢かと予想したけれど、意外と強めの味付けだ。

なかなか香りが良い。

鼻に抜ける。

舌触りも良い。

はぁっ、思わずため息が出てしまう。

これは美味いものを食べた時の幸せの溜息。


さて、こういうシャキリとした味わいの寿司の後には濃い目の味がいいんだ。

エビちゃんマヨちゃんの出番です。

子供っぽいと思われても気にしない。

マヨネーズとぷりっぷりの刻まれたエビ。

エビちゃんの鋭い旨味をマヨネーズがしっかりと受け止めてくれる。

咀嚼。

まるで突っ込みと受けのような掛け合いが舌の上を劇場変えてしまう。

う~ん、面白い。

面白いなぁ。

面白美味い。


玉子は最後の〆に残しておいて残りは納豆と赤貝。

悩ましい所だけど。

ここは納豆でいきますか。


昔から納豆が好き。

普段は毎朝1パックを食べている。

もず吉の生活の一部といっても良い。

ポンポンポン

2分の1本を口の中に次々放り込む。

口の中で混ざっていく納豆と酢飯と海苔。

良いね良いね、これこそまさに口内調味ならぬ、口内調理だ。

他の寿司よりモグモグと、長い事咀嚼して味わう。

美味しいねぇ。

食べ終わった後はガリを食べてお口の中をリセット。

ガリも良い仕事するねぇ。


そうすると、ようやくお目見え赤貝様。

昔とある方について学んでいたときに、閖上(ゆりあげ)の赤貝の事を知って、興味を持ったのが始まりだったなぁ。

そのままどんなものかと赤貝を食べに行った事を思い出す。

それ以来、寿司や刺身の赤貝は大好物になった。

しゃくしゃくとした食感。

とろけるような味わい。

あぁ、どうして赤貝って飽きが来ないのだろうか。

そりゃぁ、美味さを褒めるに言葉なしなんて言葉が出てしまいます。

気が付けば、目の前の赤貝様は消えておりました。


さて〆の玉子を頬張りお腹も適度に膨れました。


ごちそうさまでした!合掌


とっても美味しかったです!

さてさて、それじゃぁベニマシコを探して、外に出ようか。


今日はベニマシコに遭遇出来ず、ホオジロさんに慰めてもらいました。

次回 野鳥とグルメ 『ミヤマホオジロとカキ小屋』に続く。